この話は遡る事今年の3月、個展が開かれていたソフィテル ホテルのシティーセンターから始まる。
丁度開催から2日目の週末だったからなのか、会場にはYipさんご本人がいらして、少し話を聞く事が出来た事、絵の購入の事などは↓の記事で書いている。
彼の個展が終わり、私達が気に入っていた絵はアソシエーションなどに渡ってしまって、購入はできなかったけれど、個人的に描いてもらう事は出来るという事(但しYipさんと私達お互いの意見が合えば)で是非お願いする事にした。
彼に描いてもらうなら、シンガポール生活の思い出に今住んでいる部屋からの眺めを描いて欲しいと思っていた。
写真を送るよりも一度彼の目で見てから決めてもらいたくて、実際の景色を見てもらったのは4月下旬の事。
そして恥ずかしげもなく、こんな構図なんてどう?と彼にスケッチ画を見せた私。
今思うと、私もよくこんなもの見せたなぁ~と思うけれど、口で説明するよりも断然意思が伝わると思ったのよね!
見せる前に笑わないでね!とは言っておいたけれど、本当に笑いもせずに、景色を見ながら一緒になって構図を考えてくれたのです。
マリーナベイサンズやガーデンズザベイは残し、金融街の高層ビルは消して昔の風景に。
絵の真ん中にはリビングのコーヒーテーブル、そこにはコピやクエなど、眼下の通りにはリキショウやサムスイの女性とか、海に浮かぶのは昔の帆船など・・・・
子供よりひどい絵に恐縮だけど、私の意向はちゃんと伝わったのです。
この景色の絵を描いてくれる事を快く引き受けてくれて、暫くして3つのオプションを貰ったのが5月始めだった。
そして、絵のサイズを決めたらあっという間に描き上げてビックリ!
シンガポールが丁度規制強化に入ったばかりの頃、2週間ほどで出来たよ~とこの写真と共にメッセージが入ってきた。
彼が描き上げた絵は少し前に部屋から見た夕焼け空みたいだった。
そして、そして、念願の絵が届いた!
丁寧にされたパッキングをほどきながら説明してくるYipさん。
実際に絵を目の前にすると鳥肌ものだった!本当にウレシイ。
私達は最高にHappyだけど、Yipさんはこの絵を描いていて楽しかった?と聞いたら、
”勿論!じゃないと引き受けてないし・・・”と言ってくれたのもウレシイ。
別々に分けても繋げてパノラマにしても一枚の絵として見る事が出来るのもポイント。
左が昔のシンガポール。セピア色に色褪せた昔の風景と夕焼けの空が重なる。
昼から夜に、昔から現代に一枚の絵で時の流れが感じられる作品なのです。
出来上がった絵を見て一瞬でこれだ!と思ったタイトルが「As time goes by」。
私的には良いタイトルだと思って、Benoitにどう?と聞いてみると、フランス語にしても良いね!と。
フランス語だと「Au fil du temps」日本語にしても「時の過ぎゆくままに」で我ながらポエティックでセンス良いんじゃないと上機嫌!
運んでくれた時も説明してくれたけれど、テーブルの上に乗った料理たちも詳しく名前を書いて後から送ってくれた。
そして、私は全く知らなくてサプライズだったのだけど、個展に出した絵はSold outと聞いていたけれど、残っていた最後の一枚を購入していたBenoit。
サインには2017とあり、彼の2番目の作品だと言っていた。
Yipさんはチャイナタウンで育ったけれど、これは想像のカンポン(田舎)暮らし。
冬には雨が多く降り、道には水が溢れて洪水になる事がよくあったそう。3人兄弟でYipさんは右端の男の子だそうだ。湯気が立ったお母さんの作る料理が美味しそう。
この昔の生活の一部を切り取った絵は彼の優しさが滲み出ていると思う。
私達のシンガポール生活はまだまだ続く予定だけれど、唯一無二の最高の思い出の品が出来たのがとても嬉しい。
マスクをして歩いていても彼の眼鏡姿で分かるようで、道端でサインを求められることもあるそうで、最近はCNAの番組に出演していたりと有名人にも関わらず気さくな人柄で、ますます彼のファンになりました。
素敵な絵を描いてくれたYipさんに感謝します。
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